養育費は課税の対象になるのか?
相続税法21の3第1項2号
次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。扶養義務者相互間において生活費または教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
課税された後の生活費を被保険者の生活費に配分する養育費は、目的通りの給付ができていれば課税する必要がないと判断されます。養育費を支払っている親は、給与を受け取る時点ですでに所得税を支払っているため給与の一部を別居している子どもの生活費や学費に充てても課税対象にはならない、ということになります
たとえば、毎月5万円の養育費を支払う必要があるとします。その養育費を10年分まとめて支払うと合計600万円になります。600万円の養育費を一括払いで受け取ると贈与税は約82万円かかる計算になってしまいます。
計算式
600万円-110万円(基礎控除分)=490万円
490万円×30%(控除後の税率)=82万円
養育費を払っていると扶養控除が受けられる?
そもそも扶養控除ってなに?
扶養控除は、納税者に所得税法上の「控除対象扶養親族」がいる場合、一定の控除が受けられる制度のことです。
※控除対象扶養親族は、扶養親族の中でもその年の12月31日時点で16歳以上の子どもを指します
扶養親族に該当する条件
①配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
②納税者と生計を一にしていること
③年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
養育費を支払っている側の親の立場の場合、②の「納税者と生計を一にしている」とはいえないと思うかもしれませんが、子どもの生活費や学費、医療費などを用立てているという点では「生計を一としている」と見なされ、扶養控除が受けられる可能性があります
もちろん、離婚してから養育費の支払いを継続していることが最低限の条件です!また、仕送りなどで自分の親に送金をしている場合は、親も控除対象の扶養親族と見なすことができます
扶養控除を受ける際の注意点
実際に扶養控除を受ける際の注意点
①16歳未満の子どもは控除の対象にならない
②一方の親だけが適用される
1.16歳未満の子どもは控除の対象にならない
「年少扶養控除廃止」になったため、子どもが16歳未満の場合、扶養控除が適用にならないということになります。かつては、0歳以上16歳未満の子どもについても、年少扶養控除として扶養控除が受けられるようになっていましたが、2011年~2012年の改正で除外されてしまいました。そのため、子どもが16歳未満の場合は、養育費を支払っていたとしても扶養控除を受けることができません
2.一方の親のみ適用
また扶養控除は一方の親しか適用されません。扶養控除は、基本的に申請をした者が控除の対象になります。親権に関係なく所得税が多い方になる可能性が高いです。話し合いをする際には、扶養控除の権利をもらう代わりとして、養育費を多めに支払うといったことも考えられます。しかし、それでも扶養控除に関しての話し合いがまとまらない場合は弁護士に相談する方法もあります
控除できるのはどれくらいの金額なのか?
扶養控除を受けられた場合、どのくらいの金額が控除されるのでしょうか?扶養控除は「16歳以上19歳未満」と「19歳以上23歳未満」で金額が異なります
年齢 | 16歳以上19歳未満 | 19歳以上23歳未満 |
所得税 | 38万円 | 63万円 |
住民税 | 33万円 | 45万円 |
19歳以上23歳未満で所得がない子どもというと主に大学生になります。「特定扶養親族」と呼ばれ、学費や家庭に関わる経済的負担が大きいことから、控除額が多めになっています。年齢によって金額は変わりますが、控除される金額は法律で定められていますので子どもの年齢で確認してみるといいでしょう
養育費の減額を請求してくることを想定しておきましょう
扶養控除も適用されず、養育費の支払いが困難になった場合、養育費の減額を請求してくることも考えられます。養育費は長期間にわたって支払われるものなので、その間に子どもの進学や親の勤務先の倒産・失業、再婚など、経済的な事情が大きく変化した場合、養育費の変更は認められています。
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