母子家庭になり、生活費の問題を抱えている方もいらっしゃるでしょう。持病があって働けない場合、養育費だけで生活できなくなるケースもあるかもしれません。生活保護を受けられないか検討するときに、養育費を受け取っていることに不安が生じるかもしれませんが、養育費をもらいながらでも生活保護を受けることはできるんです。
「生活保護」とは、生活に困窮する人を対象に困窮している程度に応じて必要な給付を支給する国の制度です。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とする憲法25条生存権規定に基づく生活保護法により支給されます。
最低生活費の額については、生活保護を受ける人が住んでいる地域や世帯の人数によって変わります。また、世帯収入には、就労収入、年金、失業保険等の公的な手当、児童扶養手当、親族からの仕送り等のほか、養育費も含まれます。
養育費をもらっていても生活保護の申請はできます
養育費をもらっていても、それだけでは生活ができないときは、生活保護の申請ができます。生活できないほど困窮するまで追いつめられることはありません。
生活保護を受ける条件
- 資産がない
- 働けない
- 他の制度を受けても生活が難しい
- 扶養者からの援助が受けられない
例えば、最低生活費が15万円で、元夫から毎月4万円の養育費を受け取っているとします。そして、シングルマザーにその養育費以外に収入がない場合は、15万円-4万円=11万円の生活保護費を受け取れることになります。もし、受け取っている養育費の額が多い場合は、受け取れる生活保護費は少なくなります。
児童手当や児童扶養手当は収入に認定されます
母子家庭は、児童手当や児童扶養手当がもらえるケースがあるでしょう。こうした手当をもらっていると生活保護は受給できないと考えがちですが、これらの手当と生活保護の併給はできます。
ただし生活保護の規定上、これらの手当は収入となりますので、生活保護費から差し引かれることになります。生活保護だけ受給する場合と、児童手当・児童扶養手当などを併用する場合では、実際にもらえる金額は同じになります。
扶養者からの援助だけでは足りない
また、親族など扶養者からの援助が受けられる場合は、生活保護を受けることができません。この援助に養育費が該当します。しかし、養育費だけでは足りない場合は、生活保護で補うことができます。
生活保護は、最低限の生活ができるよう収入だけでは不足する部分を補う役割もありますので、他の収入が多少あっても生活に困窮している場合は頼ることができます。
生活保護申請時、養育費の申請も必須です
生活保護の申請を行う場合、養育費をもらっていることも申請しなければいけません。生活保護は、養育費だけで不足するお金を補うためのものだからです。生活保護費から養育費分が差し引かれることになります。
ただし養育費の用途が子供の学習に使われる場合は、その内訳を申告することで収入として除外される可能性もあり、その分多めに生活保護費を受け取ることも可能です。以下のような費用については、収入認定除外を求めることができます。
収入認定除外される費用
- 参考書等の購入代金
- 学習塾の費用
- 私立学校の授業料
- 通学用自転車の購入費
- 修学旅行費
入園や入学、通学、就学に伴って通常必要と認められる費用において、何に幾らの額を使うかを自立更生計画書に書いて福祉事務所に提出して認められると、養育費(収入)からこれらの費用を除外して、生活保護費を支給してくれるということになります。
虚偽申請した場合は罰則があります
なお、生活保護費を多く貰いたいからと養育費を受け取っていることを申告しないことは不正受給にあたります。生活保護を受ける人は福祉事務所に収入状況を申告する義務があるからです。
生活保護を受けると養育費が減額されるのでは?
生活保護を受けていることが、養育費を支払っている元配偶者に知れた場合、「生活保護で家計が楽になったのだから、支払う養育費を減らして欲しい」と主張してくることがありますが、生活保護費は収入として考慮されませんので、生活保護を受けても養育費を減額されることはありません。
厚生労働省のホームページで、生活保護を受ける要件として以下のように記載されています。
世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
シングルマザーが受け取れる手当などを見直しましょう
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